事業報告(令和2年度)

令和元年12月末に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が令和2年1月から令和3年5月の現在まで全世界にパンデミックを引き起こしている。日本でも徐々に増加し、令和2年4月には全国に緊急事態宣言が発令された。5月末には解除され一旦落ち着いてきたが、令和3年1月には再び緊急事態宣言が発令された。さらに変異株の流行も相まって、令和3年4月には大都市圏を中心に3度目の緊急事態宣言が発せられている。 

各種の会合、勉強会、研修会などは中止や延期になり、最近はWebを使ったリモート会議が主力となっている。八代北部地域医療センターでは令和2年3月より帰国者・接触者外来を設け対応している。八代郡医師会も令和2年11月より令和3年4月末まで新型コロナとインフルエンザに対応する地域外来・検査センター(PCRセンター)を設けて、会員の協力により運営した。その中で5名のPCR陽性者を診断した。 

令和3年3月より新型コロナウイルスワクチン接種が医療従事者から先行して開始され、続いて高齢者の接種が会員皆さんの協力で行なわれている。 

令和2年7月4日球磨川流域に100年に1度の豪雨災害が発生し、八代郡医師会でも2か所の坂本町の診療所が洪水の被害を受けた。八代北部地域医療センターの吉田院長をはじめとするD-MAT・J-MATの活躍で両施設への救助、援助が昼夜を問わず行なわれた。 

また、例年のように令和2年度事業計画に沿い救急医療、検診及び予防接種事業、学校医事業、八代北部地域医療センターの運営、医学研修、産業医活動、介護保険事業の推進及び在宅医療体制の整備などを行った。  

地域包括ケアでは八代北部地域医療センターと八代市医師会立病院にそれぞれ在宅医療サポートセンターを設け、在宅医療と介護の連携を行っている。  

 以下、各事業について報告する。 

1.医師会活動及び福祉

2.医学研修

令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の流行により、学術講演会の開催は中止されるものが多かったが、感染対策を行いつつ、八代市医師会と協力し、いくつかの学術講演会を共催した(別紙1)。また、八代郡医師会で下記の研修会を実施した。今後は、学術講演会の会場とWeb配信とのハイブリッド形式での開催が一般的となっていくものと考えられる。生活習慣病予防等かかりつけ医研修会    令和3年3/2, 3/8, 3/15       八代郡医師会・ハイブリッド方式

3.地域保健活動の推進

1)各種健診(検診)、予防接種、及び研修会受講

特定健診、後期高齢者健診、胃がん検診、大腸がん検診、前立腺がん検診、肝炎ウイルス検診、乳幼児健診及び各種予防接種(不活化ポリオ、四種混合、三種混合、二種混合、麻しん・風しん混合、麻しん、風しん、日本脳炎、結核(BCG)、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、水痘、B型肝炎、ロタウイルス感染症、インフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症)を各医療機関にて行った。

2)学校医活動

学校医事業については、医師会と教育委員会が連絡調整を行い、円滑に事業を勧められるようサポートしている。教育委員会と医師会及び養護教諭の連絡会として年に数回学校保健会が行われる。八代郡医師会からは会長と担当理事が出席し、学校児童生徒及び職員の各種検診について協議を行うのだが、本年度は新型コロナウイルスの影響もあり、ほとんどの会の開催が見送られた。 

平成28年度から、児童生徒の健診に運動器検診が加えられ、小・中学校の全学年が対象となっている。八代市では、保護者並びに養護教諭・担任教諭に協力していただくアンケート方式を採用(各学校医がアンケート結果を踏まえて整形外科受診の要否の判断)し、5・6月にかけて実施されているところである。 

学校給食アレルギー対応食提供事業については、医師会より担当医師を派遣し、新型コロナウイルス対策を十分に行った上で、年4回の審査会において指導・助言を行った。 

3)産業医活動

八代水俣地域産業保健センターによる報告では、当会会員である産業医により、八代地域の事業所において、コーディネーター立ち会いのもと、健診結果等への指導を行った。その他、当会会員の個別契約の中・小規模事業所の職員健診などを行った。 

産業医研修については、熊本産業保健総合支援センター主催のWeb研修が行われた。 

今年度は、コロナ禍という特殊な事態下であり、認定産業医の更新について、特別措置が取られることになった。 

郡市医師会産業保健担当理事連絡協議会         令和3年1月22日 熊本県医師会・ハイブリッド方式 

4)地域包括ケア及び介護保険福祉等について

令和2年度は第7期介護保険計画の最後の年であった。例年であれば八代市、氷川町、八代市医師会、八代郡医師会の四者で協議しア~クまでの8つの事業を行ってきたが、新型コロナウイルス感染症のため個別で行政との打ち合わせを行い出来る範囲でのみ行った。住民講演会等は全て中止となった (別紙4)。 

在宅医療介護連携支援センターは、平成30年4月に八代北部は八代北部地域医療センターに、南部は八代市医師会立病院に設置された。八代市医師会と共に各診療所の空床状況の把握、紹介、バックベッドの確保、他職種との連携等その機能を確立させ、より具体的な在宅医療支援体制を構築する事を目的とし現在も事業を継続している。 

「八代地区医療介護資源調査会」に於いて、本年度は有料老人ホーム等へ介護職の人員調査を行った。これにより、氷川町は既に介護職不足が現実化しており、労働力の熊本市内への流出が問題となっている。今後、積極的に学生達への説明会や職場実習等を学校に協力を要請する事や、外国人労働者受け入れ等も議題に上がった。 

医療・介護関係者研修会、ケアマネージャー研修会、高齢者施設管理者セミナー、住民講演会は全て中止となった。今後の会議や研修の新しいやり方を検討する事となった。 

基幹病院と提携して地域密着リハビリテーション活動、介護予防事業、通いの場へ作業療法士派遣(サロン等を含む)は出来る範囲で行われた。 

脳卒中連携は、八代郡医師会主導のもと継続しているが本年は会議等中止となった。 

保健所が開催する地域会議は延期となった。 

最後に新オレンジプランにおける認知症初期支援チームは八代市に於いて結成され、八代郡医師会からも人材を派遣し協力している。令和2年度は12名の方を支援し専門医受診や介護保険サービス提供を行った。しかし7月豪雨災害で1名が亡くなられ、今後認知症患者の災害時避難等が課題に残った。認知症サポーター養成講座、事例検討会への参加、疾患センターとの連絡、協議は出来る範囲で継続した。 

5)医療情報関係

本会及び地域の医療介護施設を対象に「くまもとメディカルネットワーク」の普及活動を行った。

現在、熊本労災病院、熊本総合病院、八代北部地域医療センター等の地域中核病院が参加しており、八代地域のネットワークが構築されている。

このネットワークに参加することで、画像、文書(診療情報提供書、各種指示書、報告書)の送受信、閲覧がセキュリティの強化されたインターネット環境で可能となり、CD-Rメディア作成料や郵送料等の削減、診療報酬上の評価(30点または200点)が得られる。

県内634の施設で利用可能で、54,479人が登録している。(令和3年5月4日現在)

6)関係団体との協調
7)救急医療体制の充実

令和2年度は、地域の救急医療体制において、熊本豪雨と新型コロナウイルス感染症による影響が生じた年であった。熊本豪雨では、坂本地区の救急告示診療所である高橋医院、峯苫医院、及び現地消防分署が被災し、発災直後から機能停止となった。八代郡医師会は7月4日発災当日朝に災害対策本部を設置し、現地医師会として、J-MATとして、さらに八代北部地域医療センターは現地2次救急医療機関としての活動を開始した。 発災直後~翌日にかけては、甚大な被害があった両医院の安否確認・被害状況の確認から始まり、入院患者・職員の避難のための情報収集、熊本県保健医療調整本部、八代保健所、自衛隊ヘリ部隊、D-MAT、基幹病院、NEXCO等との連絡調整、現地医療機関への食糧・医薬品などの救援物資ヘリ輸送、現地用衛星電話調達、八代北部地域医療センターでのヘリ避難患者の受け入れ、避難者への内服処方等を行った。その後D-MATが活動開始後は八代保健医療調整本部会議に参加し、関係団体と保健医療に関する課題について協議しながら、坂本地区の介護施設や芦北の被災医療機関等からの患者搬送支援や、現地復旧作業支援を行った。被災した両医療機関も現地での訪問診療や巡回診療、避難所での活動を開始した。発災後2週間目には、八代保健医療調整本部の避難所健康課題対策支援活動として行った八代総合体育館と千丁コミュニティセンターにおける77名の健康調査(問診、バイタルチェック、血糖測定、深部静脈血栓症超音波検診、生活指導等)に、峯苫医院職員、保田紘一郎医師、八代北部地域医療センター職員がJ-MATとして参加した。現地復旧活動が本格化した8月には、住民やボランティアの現地活動を支援するために、坂本地区での救護所運営も実施した。

新型コロナウイルス感染症対策では、八代北部地域医療センターで『帰国者・接触者外来』『診療・検査医療機関』を実施し、新型コロナウイルス感染症疑似症の患者のトリアージを行うことで、基幹病院の負担軽減と地域の救急体制の維持を図った。また、同感染症の拡大が懸念された秋には、地域医療体制の維持及び地域での感染拡大の防止を目的として、八代郡医師会立『八代郡医師会地域外来・検査センター』を開設した。看護師1名、事務2名と看護職臨時職員を採用し、医師会会員の協力により小児から高齢者まで、休日・年末年始を含めて522件の検体採取を行った。看護職については峯苫医院の協力を得ての運営であった。

八代市及び氷川町からの委託事業である年末年始、5月連休および日曜祝日の在宅当番・救急医療情報提供実施事業については医師会会員21医療機関で実施したが、熊本豪雨により被災した坂本地区については、発災以降同事業を停止した。

また、八代市夜間急患センターでの診療については例年通り会員2名が協力した。

八代北部地域医療センターでは輪番制による夜間、休日の一次・二次救急の外来診療及び緊急入院受け入れを行った。年末・年始、5月連休についても例年通りに時間外外来診療受け入れを行った。休日、年末・年始、5月連休については、通常の救急外来体制とは別に、新型コロナウイルス感染症疑似症例対応として医師1名を配置した。当初は、一日2時間の診療であったが、感染が拡大した10月以降、日勤帯は通常の救急外来と発熱外来の2診制となり、新型コロナウイルス感染症疑似症例の診療を行った。

また、八代地域メディカルコントロール協議会については書面やWebでの開催であったが例年通り参加し、地域の救急医療体制作りに参加・協力した。

4.病院事業

令和2年度の八代北部地域医療センターは、通常の医療活動に加え災害医療と新型コロナウイルス感染症対応という二つの有事に取り組んだ1年であった。

まず熊本豪雨においては、7月4日発災当日朝、八代北部地域医療センター内に八代郡医師会災害対策本部を設置し、八代北部地域医療センターとしても災害医療活動を開始した。具体的には坂本地区からヘリ搬送される患者さんをはじめ、被災医療機関などからの入院を10名受け入れ、球磨、坂本地域から避難された65名の方の薬の処方、八代総合体育館と千丁コミュニティセンターでの避難所健康課題対策支援活動、現地救護所活動を行った。

新型コロナウイルス感染症については、令和元年3月に『帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関』として認定され、令和2年度はその機能を継続し、週末・休日・年末年始を含め疑似症患者の診療を行った(令和2年10月からは国の新型コロナ対策制度の変更に伴い『診療・検査医療機関』に移行)。同外来開始当初は、CT検査でCOVID-19の疑いがある症例について県にPCR検査を依頼していたが、県の負担が増えることが懸念されたため、令和2年4月には民間検査機関へのPCR検査委託を開始した。6月からは院内での抗原定性検査が可能となり、8月に同検査で初の陽性者が確認された。11月には院内にLAMP検査棟を建設し、自院及び八代郡医師会地域外来・検査センターの検体検査を開始した。令和2年度の各検査件数は、外注PCR検査が48件、抗原検査が306件、LAMP検査が1166件(院内検体644件、医師会地域外来・検査センターの検体522件)であった。

通常の診療については、一般救急患者やリハビリ目的の患者、緩和ケア目的の入院受け入れを継続した。今までになく病床稼働率が一時的に低下する時期もあり、新型コロナウイルス感染症による社会全体の医療ニーズの変化や、八代2次医療圏に回復期病床が増えたことによる影響が考えられた。リハビリについては現在週末も実施し、一般病床、地域包括ケア病床、療養病棟で回復期リハビリを行っているが、回復期病棟がないことにより今後回復期リハビリ目的での転院受け入れが減少する懸念があり、拡大・強化してきた回復期機能をさらに充実させる必要があるものと考える。

病児病後児保育所については、年間利用者数が107件であった。新型コロナ感染対策に腐心しながらの運営であるが、地域の子育て支援のために今後も継続する所存である。

八代北部在宅医療サポートセンターについては新型コロナの影響で対外的な活動が十分に実施できなかったが、急性期病院を中心として八代二次医療圏の空床情報を地域全体で共有するシステム等を八代市医師会立病院の八代南部在宅医療サポートセンターと連携して実施した。

以上のような状況で、令和2年度の決算は新型コロナ関連の支出が大幅に増加することとなったが、その中には補助金事業も含まれており、最終的な収支状況は大きく悪化することなく終えることができた。新型コロナウイルス感染症対応については地域の中での役割を期待されており、令和3年度も継続する所存である。一般急性期、回復期等の地域医療についても、開院来強化してきた役割をさらに発展し、地域に貢献できる病院として活動する所存である。

5.医師会館及び医師会庶務事務の充実

Microsoft TeamsによるWeb会議システムの構築がなされた。

6.医事紛争、医療事故、保険事務指導

令和2年度保険医療機関の個別指導なし

7.医師会員動態

令和3年3月31日現在 A会員24名 B会員12名 合計36名